金属雑貨★インテリアのメタルマート

トピックス


「ラジコンマスターモデル」製作レポート

ラジコンカーのボディ量産用金型のマスターモデル作成レポート

2003年7月末、ひょんな事から、ラジコンカーのボディを量産する金型の元となるマスターモデルを作るという話しに巡り会いました。車メーカーでも使っているインダストリアルクレイという模型専用の粘土を使ったモデル作りは、学生の頃数回作った事があり、このマスターモデルもクレイで作っても良いというお話だったので、できるのではないかと思ったのと、兎に角面白そうなので、お願いし、やらせていただく事になりました。(無謀だったかも... (^_^;

出されたお題は、今人気のドリフトグランプリに出場している AE86トレノという事で、掲載されている雑誌数冊を渡されました。もっと資料が欲しいので、後は自分でこの型のレビン/トレノ本を購入。この当時の実車はこれです。


実車写真

また、既に 1/24 サイズで同モデルがプラモデルで出ているいう事だったので、早速、メーカーに問い合わせ購入。届いた物を見ると、パッケージの写真は実車で、中身はノーマルボディにステッカーだけそれになっているという内容でした。(こんなんで売って良いのか?)

作ったモデルのサイズは 1/10 だと思います。(^_^; ラジコンのホイールベースと幅は、実車のそれとはかなり違う(幅が広い)ので、諸元を忠実にあわせるのではなく、雰囲気を大事に、更にかっこ良く見えるようにという指示をいただきました。難しい...

インダストリアルクレイは店頭販売していないようで、インターネットで探して電話注文し、ツールは学生の時に使っていた自分のが見当たらなかったので、当時から付合いが続いている友人に借りました。

必要な物が揃ったところで作成に入ります。まずは、作業がし易いように、車高に合わせたゲタを木で作ります。その上に実際のサイズより一回り小さく、発砲スチロールを接着していきます。こうして出来た物を中子(なかご)と呼びます。

モデル1

プラモデルに入っていた説明書の線図を参考に、前/横から見ただいたいの輪郭を描き、その線に合わせスチレンボードを切り抜いて、ガイド用のゲージを作ります。

また、規定のホイールベースに合わせてタイヤハウスのアーチ部分も用意しました。

モデル2

作ったゲージを当てて見ながら、カッターを使ってだいたいの形を作っていきます。

学生の時は硬質発砲ウレタン?のブロックを使いましたが、普通には小さい単位では手に入れられそうになかったので、今回は安くて手に入れ易い発砲スチロールを使う事にしました。が、もう少し硬度のある物の方が良かったです。

モデル3

ざくざく切り取って、かなり車らしくなってきました。

試しにクレイを盛ってみたところ、食い付きが悪いので、荒いヤスリで全ての面を荒らしました。

モデル4

これがインダストリアルクレー(円柱のもの)と形を作るのに使うツール類です。市販されているツールは100種類くらいあるようですが、1本1本が高額で、個人ではなかなか手が出ません。ので、後は自分でプラ板をカットたり、他の工具を代用したりです。(^_^;

モデル5

クレイは 60度程度で柔らかくなり、常温ではツールで削れる程度に固くなります。少量なら指で練っていても柔らかくなります。幅2〜3cmづつ輪切りにして、ラップに包み、電子レンジで暖めて使います。

モデル6

少量づつ、指の腹を使って押し付けていきます。このクレイの凄いところは、少量でも盛り足した所が殆ど分からなくなる点で、押し付けると1体化するというか、クレイ同士が簡単にくっついてくれるのです。

モデル8

クレイを削っているの図。地面をならすトンボの小さいのみたいなツールは、片側が矩形波のように、刃が等間隔に抜けていて、削ると写真のような削りカスが出ます。反対側は平らの刃となっています。形状ができるまでは矩形波型の方で削り、平らな方で面を仕上げるというような感じで進めます。

右上に見えるコンパスのようなものは、コンパスです。(笑)コンパスの片足の先端を取り去り、木のベースに差し込んであります。地面との平行線がボディに引くのに使います。


モデル7

だいたい形になったところで、パーティションラインをけがいてみます。そうする事で、形状がよく分かり、直すべき箇所が見付け易くなるのです。後部は 86 のハッチバックっぽくなってきました。

オーバーフェンダーを形作った所で、モデルを持って進捗状況の報告。

キャビンをもっと小さくした方がかっこ良く見えるとの事。それから、なんと実車の仕様が変わり、オーバーフェンダーが、ブリスターフェンダーになったという事で、その時点での実車の写真をいただきました。

モデル9

ここからは、作業に夢中になっていて、撮影し忘れていました。(^_^; ので、かなり行程をワープしています。



モデル10

屋根を下げ、4方のウインドウを寝かしてキャビンを小さくし、ブリスターフェンダー化、プレスラインを入れ、ボンネットエアダクトを開けました。崩したく無いラインにはマスキングテープを貼って保護し、隣接する面を形作ります。

モデル11

フロントフェンダー後ろのエアダクトを開け、エアロパーツの形を整えます。リアバンパーはもう少し延長した方が良さそう。この時点で再び進捗状況報告。

モデル12

ボディはポリカーボネートを真空引きして作るので、くびれがあると型から外れなくなるという事で、バンパー下のあたりはあまり削り込めないのです。本当はもっと立体的な作りをしてますね。

モデル13

フロントフェンダーに入れたエアダクト部分は、同様の理由で、型取りの際に埋められてしまいました。

モデル14

エアロパーツの形状はなかなか良い具合にできたと思いますが、各部のラインは、最終的にはもっとシャープに出さないといけません。リアのオーバーフェンダーが嫌らしい形状をしています。


モデル15

リアバンパーの延長、キャビンサイドの下端ラインを少し下げ、リアウインドウを更に寝かせ、リアのナンバーポケット部分を作り、仕上げのサフェーサーを吹きました。サフェーサーは車の塗装する際の下塗りとして使われています。

モデル16

どうでしょうか、この大きさで見ると、それなりに見えるかと。(^_^; パーティションラインが入るとよりそれっぽく見えると思いますが、それは金型になってから。

モデル17 モデル18
モデル19モデル20 モデル21

この後、金型を起こしてから、リアウイングを別パーツで作るため、再び受取って直接これにウイングを形作り、お尻を切って納めました。その写真は取り忘れてしまいました。(2003/09/30)

金型で細かい部分の修正をし、平行してボディに貼るデカール(ステッカー等)の準備が進められているはずです。早ければ今年中に製品化されるようなので、その時またご報告致します。 # 楽しみ!


2003年の12月、ついに発売されました。(^_^)/
Speed Way Pal さんのサイトトップページに写真が掲載されています。
こちらはその詳細写真。(別ウインドウ表示)
かなり、嬉しいです。ありがとうございました。


← トピックスへ戻る